久々に、ランチタイム20分チャレンジ。

今日は、Webメディアの事前チェックのありなしから考えることにする。

なにがあったの?

事の発端はこのライターさんのツイート。

 

記事の事前チェックはよろしくない、という言論。

ビジネスパートナーであるインタビュー対象者をして害悪とか、同業メディアを恥だとか、かなり語気が強いこともありつつ、そもそも「事前チェックって」というところで同業界隈やユーザーを巻き込んでの議論が、いまだに行われていたりする。(7月24日現在)

 

 

実際、記事の事前チェックはどっちでもいい構図が見えてくる

 

インタビュイーの意思と意図

この問題、インタビューされる側としては

・勝手に解釈されて事実と異なることを書かれたり

・印象操作みたいなものが働いて風評被害を受けるのが怖い

 

という心理的な力学が働く。取材されているのはスタートアップの経営者や、大手企業のキーマンなど、ビジネス意識の高いユーザーに映えるメンツとなっていて、もちろんこの辺への配慮というのは働くだろうと思う。

 

メディアの意思と意図

一方でメディア側としては

・チェックを入れることでインタビュイーにとって都合の良い内容になってしまい

・ユーザーに記者が取材で得た真実が伝わらないのをさけたい

 

というところで、鍔迫り合いになってるんだと思ってる。

 

結局のところ、目指すところは両者おなじ

結局のところ、両者が考えていて譲れないと思っているのは

・読者に、ただしい情報を伝えたい。

という一点であると思う。アプローチや背景、相手への事前認識が異なるだけで、実現したいことについてはおなじだったりするので、「事前チェックが~~~」というただの手法のひとつにフォーカスした論争に終始するのは大変に無意味で哀しい。

 

 

思ったこと

インターネットくらい、性善説で過ごしたくない?

この話、記者側が「インタビュイーにレビューさせると都合よく改変されてしまう可能性があるから、メディアのポリシーを守るために、事前チェックをしたくない」という始まり方をしているのだけど、そもそもこの性悪説が正しいんだっけ?というのはひとつきになる。

自分はWebの取材業務界隈に明るくないので、知らないのだけど、こういうメディアで取材されてコンテンツになる人たちって、そもそもそんなコスいことしそうな人たちなのだろうか?

「ともにわかりやすく、真実を伝えましょう」という共同作業になれなかったのかなあ、というのはシンプルに思った。

 

 

必要な議論ではあるので、メディアポリシーの話として業界のスタンダードにしてほしい

今回の記者のアウトプット、個人のTwitterではあるものの、会社や自分が所属するメディアの看板は背負ってるわけで、結局どこまで何を考えてるのかはわからない。

もしかしたら裏にはもっとユーザーフレンドリーな背景があったのかもしれない。

そこと業界の現実の乖離があるのであれば、これはみんなの問題なので、必要な議論として見てみたいな、と思った。

 

その辺、Buzzfeedは日本市場に入ってくるときに、しっかりと編集ポリシーを開示していて、とてもすてきだなとおもったし、ほかのメディアのこういうポリシーも、実はそんなに見たことがないので、まとめてみてほしい。

 

このガイドラインは、BuzzFeed Newsのスタッフが、様々なコンテンツを作るにあたり、賢明で責任感があり、倫理的な判断ができるよう、考え方の背景を提供するものです。

このガイドラインは社内のライターや編集者、そして関連部門の同僚たちと話し合って作られました。運用しながら今後も改善を重ねていきます。

BuzzFeed News自身、まだ成長途上です。このガイドラインの目的は、私たちの成長を助け、また自分たちがどのようなメディア企業を目指すのかを映す鏡になることです。

私たちは、BuzzFeed Newsのライターや記者、編集者が読者に対する説明責任を果たせるよう、このガイドラインを公開します。

ガイドラインは、1) 情報収集、2) 訂正・更新・削除・誤字脱字、3) 法律と倫理、4) 編集サイドとビジネスサイドの関係、の4つのセクションに分かれています。このガイドラインは、全世界のBuzzFeed Newsの記事編集業務に適用されます。

 

これから考えたいこと

メディアの役割とは

今回のこの騒動、おそらく業界やユーザー、自社のメディアへの思いだとか熱量があふれたばかりに起こったものだと思ってるんだけど、全然関係のない自分としては、「メディアの役割って最終的には何だ?」という議論に立ち返る機会をくれたものだとポジティブにとらえてみたい。

 

インタビュイーによる意図的な編集や、メディアによる事実誤認を避けたいという「事実への執念」も、大事なことの側面かもしれない。

でも、嘘ばっかり書いてたり、皮肉しかないメディアでも、愛されているものはある。

 

読後感の定義と設計、明文化。そして周囲の協力を経て実現するというスタンス

「ユーザー思い」が大前提なのであるなら、読後感の定義と設計というのは、実はとても大事なんじゃないかと思っている。

何のために「事前チェックを断る」のか、についての表明がなかったために、今回は「暴走したメディアの記者」になってしまったのかもしれない。

でも、よくよく見れば「よかれと思って」であったと信じたいし、インタビュイーの反応も、きっと同じものだと思っている。

今回のメディアだけでなく、ほかのWebメディアや、それを運営する企業として、編集長的なポジションから、業界や取材対象、読者などの「協力者」へ、全方位的な説明があると、個人的には嬉しい。

例外は少なからずあれど、そんなに邪悪な気持ちでメディアやってる人なんて、いないと思うんだ。(稼ぐにしては、まだまだ効率悪いし)

 

 

改めて絶対に忘れてはいけない「読者のために」という正義

 

サービス語源・由来】 サービスは、英語「service」からの外来語。

「service(サービス)」は、「奉仕する」「仕える」などを意味する動詞「serve」の名詞形。

結局のところ、ユーザーに何を提供したいのか、を考えるところからすべてのサービスは始まる。

各メディアに提供したい価値はあれど、メディアという形をとり、コンテンツをサーブするのであれば、その効果計測や評価は「読後感」に集まると思う。ここから、「じゃあどうすべきか」と検討、それを「実際にワークさせる」ための運用設計があって、初めて「事前チェックはどうするか」の会話になると思う。

そして個人的には、「事前チェックをさせることは恥」という結論には、ならないんじゃないかなとも思う。

 

ただ、事前チェックを排除するということは、「公開前のレビューフローを1つ失っている」ということを忘れないでほしいと思う。

取材する側(編集部)が、取材される側よりも話題に対して専門的な知識があることが前提となっているけど、先進的な話題を多く取り扱うこのメディアにおいて、そういうことは少ないんじゃないかな。

そうなったとき、果たしてそれはユーザー思いになっているのか。

また、インタビュイーは本当に事実を歪曲させる敵なのか。

そして、あんなに汚い言葉で、それを世間に伝える必要はあったのか。

 

 

自身が報道メディアに携わっているわけではないから詳しくはわからないけど、一読者として思った次第でございます。

 

 

 

ちなみにこの記事は誰の事前チェックもとおっておりません。

誤字脱字あったらごめんなさいね。

 

 

なんつって。