ランチの間にネタを探して30分で仕上げるシリーズ、今日はこれ。
Outlines
AmazonがSaaSの売買ができるマーケットプレイス、Amazon SaaSストアをオープン。
このストアでは、セキュリティ、データ管理・分析、財務・会計・人事などに関する様々なSaaSの比較検討、購入、ライセンス管理までの一連のプロセスをAmazon上で完結することができる。注文できるSaaSは、サブスクリプション(有期購入自動更新)モデル、ライセンスキー(有期購入使い切り)モデルの2種類で、サブスクリプションモデルを購入すると、ライブラリ機能により、ライセンスの更新予定日、次回支払日、ご利用状況などをAmazon上で一元管理することが可能。
また、SaaSを提供するメーカーやスタートアップがアマゾンウェブサービス(AWS)を採用することで、柔軟性をもったSaaS開発が可能となる。
Amazonは、AWSとともに、「SaaSストア」を通じて、メーカーやスタートアップによるSaaSの開発から販売、マーケティングまでを支援していく。
とのこと。
これはAmazonの利益を縁の下からはみ出る勢いで支えるAWS(Amazon Web Service)の売上最大化だとか、SaaS商品を取り扱うことでAmazon本体の売上の増加とか、そういう効果もあるかもしれないんだけど、個人的には決済領域での攻勢とみてる。
なんで決済領域だと思ったの
・商材の追加は現状通貨に対する優位性の維持拡大に直接つながる
Amazonの売買、そのほとんどがクレジットカード登録によるものなので、現金決済に比べてユーザー側の煩雑さを解消しているのは、ほかのECサービスも同様なんだけど、基本的に決済体験(というかお金の概念)における価値は「普及性」と「汎用性」によるものだと思っていて。
窓口によって切り替える必要がなければないほど、ユーザー体験は高まり、価値になる。
有形の商品を世界最大の規模でカバーするAmazon、そしてそのAmazonでつかえるクレジットカードが持つ、ショッピング行動における優位性はすごい。
取扱い商材の追加は、その利便性の拡大につながる。ユーザーもハッピー、Amazonもハッピー。
・SaaSという”お買いもの”の特殊性
SaaSはそもそも消費財ではない。
なので買い替えの頻度はとても低い。この辺がミソになってると思ってる。
基本的にSaaSストアで売られている商材は、
・利用ロイヤリティごとのテーブル
・契約期間
で料金が決まる。
利用ロイヤリティというのは、たとえば「Aプランならここまでしか使えないけど、エンタープライズプランなら無制限ですよ」とか、「Bプランだと登録できるユーザー数は10人ですけど、Lプランだと200人ですよ」といった、機能解放をベースにした金額のラインナップ。
その金額がどれくらい継続するのか、で合計の値段が見えてくる。
さらに後者に関して言えば、期限切れを防ぐためにむしろ「自動更新」であることも多く、これがさらに買い替えの頻度を少なくしている。
・プラットフォーマーの出口は独自通貨になりがち
プラットフォーマーのマネタイズの変遷
プラットフォーマー、定義は様々なんだけど、ここではがつっと「数億人規模のユーザーを自社のオンラインサービス上に抱える存在」、としてみる。
該当するのはご存知、Google、Facebook、amazonなどなど。
彼らの収益源は、大きく分けてだいたい下記になりがち。
・アクション(予約・登録・購入)に対する手数料
・広告
これらに新たに加わろうとしているのが、独自通貨。
Facebookにも、こんな話が持ち上がってた。
ということで
Amazonはユーザーのクレジットカード、つまりは自動支払いの窓口を握っている。
ユーザーからすれば、お金の出口をがっつり握られていることになる。特に今回の取り組みでいえば、改めて法人格のアカウントがたくさんAmazonとの支払窓口を新たに開通することになると思う。
amazonは有形、無形の商品を幅広くカバーしている。この価値がユーザーの支払い(トランザクション)を生むことで、独自の経済圏が出来上がる。
ユーザーにとって、ほしいものが手に入るのであれば、物理的な運搬の必要もないし、支払の際に現金をわちゃわちゃする必要もない。
というわけで、自社プラットフォーム上でのトランザクションを増やしつつ、ユーザーのアカウントをがっつりホールドすることで、仮に独自通貨を発行したとしてもしっかりと汎用性と有用性が担保できるなあと。
この買い替え頻度の少ない無形商材を握っておくことで、今後何十倍になるかもしれないポテンシャルを秘めているのと、競合の決済プラットフォームをうまい具合に土俵から押し出すことにつながると考えた。
ちょっと妄想が走りがちかな?
なんつって。