どうもお盆ですね。良いお盆をお過ごしでしょうか?
人は他人に口を出すのが大好きだ。
なぜなら口を出すと、よくわからないけど自分がすごく役に立ったり、相手に影響を与えたりできる「すごい奴」だと感じられるからだ。
もちろんその口出しには、相手にとって役に立つもの、何の役にも立たないもの、あるいは相手を苦しめるものもあったりする。
とはいっても、そんなものは口出しする人には関係ない。口に出すところまでがゴールなので、その効用についてはあんまり考慮されていなかったりする。
そんな口出しの中の大定番に「若いうちの苦労は買ってでもしろ。」というものがある。
インターネットでも度々論争を巻き起こしていたりする。
今日はこれについてちょっと思ったことを書く。
Outlines
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」に思うこと
このことわざ、もう30年も生きちゃった自分としては、こんな風に思いましたとさ。
情報が少ないので不親切すぎ。
これ、命令形の割に「なぜなのか」「どのようにか」みたいな部分が一切ないので、オーダーや命令としては最低レベルの品質だなって思う。
こんなメタな情報与えて何かを教えた気になってるって、結構強烈にダサい。
これで上手くいくようであれば、アドバイス先が相当優秀なんだろうなって思うんだけど、自分のまわりで「若いうちの苦労は買ってでもしろ」に困る若者たちを見ると、完全に要件不足だと感じる。いきなり言われてもわからないもんね。
そもそも「苦労をする」がゴールのように設定されているので、指標もかなり危険。
戦術としては完全に誤ったかたちをとってると考える。
大事なのは「上手い買い物の仕方」
この言葉で一番言わなきゃいけないのは、「良い買い物をしろ」のところ。
何を買うべきか、が最も重要で、それを”なるべく若いうちに”、”多少無理してでも”、”実行せよ”が、本来伝えるべき要素。
なので、この言葉は、実は「苦労せよ」ではなく、「買い物をうまくせよ」という話になっている。誰がこんな形でフレーズにしてしまったのか、Very BadなUX。
その前提で”苦労してでも買え”であれば、同意する
若いうちから、良いと思ったものにはどんどん手を出せ、というのであれば、個人的には同意する。それが苦労を伴うものなのか、あるいはそうでもないものなのかは関係なく、「良い」のか、「良くない」のかしか見なくていい。
いらんものはいらんし、いるものは圧倒的にいる。なのでそれらをちゃんと考えて、集めようとせよ、というのであればとってもアグリー。
詰まるところでいうと、こういうことになる。この4象限の一つについて言及しているだけだ。
ところで、何をよきとし、何をよくないとするのかっていうのがまた大事になってくる。
これについては、ちゃんと立ち止まって自分自身にきいてみたり、一方で思い当たるものがなければ探しながらでいいんじゃないかなとも思う。
この辺こそ、直観でやらないと、やってられなかったりする。
人生の正体は、「リソースの交換業という経営」だ
ちなみに買い物と言っても、支払うものはお金ではなかったりする。
人間には、3つの資源があると思っていて、それを切り売りしながら生きているんじゃないかなっていう思いが強い。
人生を構成する3つの資源(リソース)
ひとつは「時間」、そして「お金」、さらに「体力」。
この要素で人生は出来上がっていると考えたとき、たとえば体力という資源は、20代半ばくらいまでは、時が経つごとに増えていくが、そこからは徐々に低下していくかたちをとる。
またお金は、(多くの人が)バイトやお小遣いで10代を過ごし、20代からは労働による給料で構成されていく。これも、40代くらいまでは経年で増加していく資源。
時間について、これは資源としては一定に配られている。どんなに偉い人もまだまだ駆け出しの人も、若い人もお年寄りもみんな1日が24時間で、1年が365日で寿命でいうと70~80年くらいになる。
ただ、「自由に使える時間」としたときに、その区分は変わってくるかもしれない。
やっぱり学生時代のほうが、好き勝手できる時間は多かったりするし、それは定年などで仕事をリタイアしたときに、また戻ってくる。
ポートフォリオは変動する。
この3つの要素、みなさん今のポートフォリオをどのように把握しているだろうか。
・時間があって、体力もあるが、お金はない
・体力はあるが、時間とお金がない
・時間もお金もあるが、体力はない
だいたい、学校を卒業してサラリーマンになったりすると、上のようなコースを行くことが多い。
その中で、自分の幸福や目的を実現すべく、「時間を金で買う(徒歩じゃなくて新幹線、とか)」「体力と時間を売りお金を買う(バイト、会社勤めなど)」、などなど、いろんなものと交換して、その差分に価値や経験を感じて、生きてることのよさを追及していく、それが人生なんじゃないかなって思ってる。
リソースの価値や貴重さも定義される:「若いうちにやれ」の正体
そうなると、それぞれのリソースに対して、それぞれのフェーズで「貴重さ」が定義される。
つまり、
学生時代を超えると「時間」「体力」は揃いにくい。≒ある状況・タイミングが希少
のように
サラリーマン初期(1-3年目)の「体力」「お金」も、体力は減衰していくリソースなので揃いにくい
サラリーマン後期の「お金」「時間」は、若いうちには実現しにくい
といったことが発生する。
逆に言えば、
・学生なのにお金持ち
・サラリーマンなのに時間持ち
・定年間近なのに体力(健康)に恵まれている
というのは、この人生論においては「すべてのリソースが揃っている勝ち組」と定義される。
若いうちにトライせよ、については超同意。
人生が何で構成されていて、それぞれのリソースがどのように増減するのか、については、ある程度予測ができる。
運動習慣や健康、身体に自信がなければ、体力は今よりも減っていくだろうし、またがっつり仕事や自分でやるお金稼ぎにコミットすることも難しければ、お金はそんなに増えないかもしれない。逆に将来が安泰なキャリアを歩めるのであれば、お金というリソースは増えていくとしてよいだろう。
あるいは、仕事やその他の諸々に追われる日々が続きそうだったら、自分のことに使える時間的リソースも増えないかもしれない。
それでも、各年代や人生のフェーズで、「何か一つを持っていないけど、ほかの2つは他の年代より持ってる」という仕組みになってる以上、その時その時でどういうアクションを取るのが賢いのか、っていうのは、半ば強制的に決まってくる。
そうしたときに、若い人(今回は学生を想定)の強みは、「時間」と「体力」だ。
これは、「何か新しいことにトライする」というアクションに、非常に相性がいい。
・スマートフォンやインターネットの普及により、調べごとやコミュニケーションが無料でできる。
・おなじく何かを始めることのハードルが劇的に下がった。
・時間を掛ければ、コストは減らせる(ことが多い)
・新しい挑戦の多くは失敗するし、失敗は時間を食う(なので人生のステージが進むとトライしにくくなる)
・失敗によるリスクが自分のメンタルがちょっとへこむくらいしかない(社会人は経歴や実績と連動してしまう)
・口出し大好きな先人がいっぱいいて、アドバイスとか情報がタダでも集まる(品質の担保はできてないが)
などなど。
つまり、「学生だからやるんだ」じゃなくて、「リソースの変動からすると、卒業後はどんどん挑戦しにくくなっていくので、今が一番タイミングとして良い」の方が正しい。
そういうことなんです。ね、びっくりしたね。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」じゃ、何もピンと来ませんでした。(少なくとも若いころの自分は)
若くない人たちの人生戦略について
じゃあ若くない俺らはどうしろってんだ、このまま今の会社に骨を埋めて何も新しいことをせずに死ねってか!!
と言われるかもしれないですが、リソースのポートフォリオの話はあくまでグラデーショナルな話なので、簡単な0-100と勘違いしてキレてんじゃねえよホントはわかってるだろうが、ってかんじです!
サラリーマン初期から中期なら、体力とお金を温存して、時間を作る動きをとる(≒業務効率化・自動化、仕事を進めるための勉強による投資)とか、サラリーマン後期から定年前はなるべく体力を温存するために運動や食事・健康に気を付ける、などなど。
自分の手札と、それに対して起こりうる変化に準備をしておくことが、「自分への投資」となり、いちばん効率がいいんじゃないかなと思う次第です。
長くなっちゃうので今日はこの辺で。
・「若いうちの苦労は買ってでもしろ」というのは、「ちゃんと良い買い物をしろ」ということだよ
・人生は「お金・時間・体力」で構成されているよ
・ポートフォリオはどんどん変化していくので、常になんとなく把握しておこうね
・次の年代にはどうなるから、今はこのリソースを使って備える。みたいなのができるといいね。
・このサイクルを常に回していくことで、ピンチや不幸の少ない人生が送れるんじゃないでしょうか(自分も検証中)
そんな感じです!!
以上、口出し大好きおじさんより!
なんつって。
【Appendix】
THE GUILDの深津さんという超超超超尊敬してる「わかりやすさの神」みたいな方がいらっしゃるんですけど、その方はこういう感じでまとめてました。Great 参考になる spritsなので、よかったらぜひお目通しくださいまし。