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一連のDeNA騒動でかなしいと思ったこと

大学を5年前に卒業して、初めてかもしれないんだけど仕事やビジネスにおいて感情的に許せない(というか残念)という気持ちになったので、ずっと忘れないようにここに書いておく。

 

どうもおつかれさまです。

あつくるしい話をします。

 

「ねえ、MERYもうすぐ見れなくなっちゃうの?」っていうメッセとかがくるんですよ、なにこれ全然MERYの中の人じゃないのに普通につらい。

やっぱりキュレーションメディアの件。もうDeNAとかWelqとか、MERYとか書かなくてもいいくらい、いろんな領域・会社に対象のメディアは複数ある。知ってる。もう結構暴かれてるので、あえてここでやり玉にあげようとは思わないけど。

あとたぶんD社に限らず、再開はすると思ってる。記事削除でもないし、ドメイン削除でないし、Noindexですらなく、ページ内から記事を消してTOPページへリダイレクトしただけで「site:」でGoogleへのインデックス状況を確認してもそういえる。

Find travelもまだ100,000件くらいは残ってるみたい。(2016年12月6日現在)

例 site:http://find-travel.jp/

 

だから復活はすると思う。いろいろ思うところはあるけど、率直に思ってることを書く。

もともとネット広告市場でメディアバイイングのプランナーやアライアンスまわりをやっていたのだから、知ってるメディア数や媒体社数、気の置けない担当者数には結構な自信がある。

いろんなサービスが生まれるのを見てきたし、死んでいくのもみた。

生まれてくるのはだいたいワクワクしたし、死んでいくのは悲しかった。でも仕事だから、ビジネスだから、結局は上手くいくものが一番正しくて、そうでないものは何かが間違ってたと思っていた。これはもう自分の古巣がそういう感じだったし、3-4年前のインターネット広告なんて、ユーザーのことをそこまで考えないでバブッてた(バブル的な意味で)ので、いまでは信じられないんだけど、無理して納得しようとしていた時期もあった。

もちろん、いまはそんな幼稚でプロ意識のない考え方はしてない。

 

◆DeNAさんについて

今回のDeNA周りの事件、別に彼らを詐欺集団だのクソ企業だのなんだのっていうのはほとんど一切ない。ビジネスだから。よくないことをした、それはよくないと思う。彼らの評価は下げざるを得ない(そもそもなんの評価かは不明)けど、だから嫌いかといわれたらそうでもないし、差別したりなんか陥れようとする気もさらさらない。

ビジネスをすすめるうえで、目標設計や戦略の設計、ユーザーを含めた仮説構築がへたくそだった。それだけ。

同じようにインターネットにドメインをおき、マーケットを調べビジネスを興し、ユーザーの方々に使っていただきながら育てていく、同じような仕事をしているけれども、彼らは恐ろしくへたくそだった。なので彼らには興味がない。

失敗や敗者から学ぶこともあるかもしれないけれども、今回のケースでいえば、自分はそんな手段など取らないので、あんまり彼らが失敗したことには意味がない。あったとすれば、Googleのアルゴリズムや技術的限界を、代わりに暴いてくれただけだ。

 

◆仕事をしてて、初めて感情的にかなしかった

でも仕事してて初めて感情的に許せないというか煮え切らない、と思った。それはそのメディアのコンテンツを楽しみにしていた少なくないファンのユーザーを悲しませてしまったこと。これだけが、仕事してて珍しく感情的につらい、そういう気持ちになった。

Find-travelで旅行の予定を立てたり、MERYできたるクリスマスや冬休みに好きな人のためにかわいくなろうとしてたり、その他のメディアでこれからの予定や自分の生活を彩ろうとしていたすんごく多くのユーザーに対して、インターネットの評価そのものを下げてしまった。それがすごくつらく、かなしい。

盗用やらリライトや何やらコンテンツホルダーに対しての不義理もあっただろう、それはクソだ。小学生レベルのルール違反だ。でも、それでもユーザーにとって価値があるコンテンツやまとめがユーザーに届いたかもしれなかった。それを非開示という形で再度ユーザーから取り上げる形になってしまった。この責任を個人的に重く受け止めてる。ネットが大好きなので。

インターネットは人々をいろんな制限から解放して、社会を便利にしていくものだと思ってた。そんなインターネット領域に携わって、いろんなメディアの人たちとあーでもない、こーでもないを繰り広げて楽しくやってきてたと思ってた。

もちろん、仕事で関わる以上はビジネスだし、稼げているメディアはすごいし、そうでないメディアは頑張ってほしいと思っていた。

DeNAのまとめメディアたちが、Googleの検索結果画面上位を席巻していた。

結局は低単価低品質でもKWの含有率とか意味情報のつながり、共通語、hタグの設計、あとはそれっぽい記事や画像のパクリという骨組みで、それはもう大量に席巻していた。

よくない、実によくないけど、(welqのような誤情報で健康を害してしまうものは断固反対だけど)個人的にはそこまでおこじゃなかった。

結局のところ、彼らは、(大前提、遣り方はダメなんだけど)もしかしたらスポットライトの当たらない情報をユーザーに届けていたかもしれないし、スマホのUI上、一つのページに、第三者的な情報を集約することで、本当にユーザーの意思決定を助けていたかもしれない。

彼らが提供するすべてのコンテンツがクソだとは思っていなかった。全ての記事が役に立ってないとは思えなかった。ないことの証明は悪魔の証明、確認しようとは思ってなかったけど、直感的にそうは思っていた。

◆どのメディアにも、お気に入りボタンがあった。

どのメディアにも、お気に入りボタンがあった。

その記事を後で、何かの際に再度見ようとするユーザーが使うボタンだ。

どのメディアも、基本的には全記事を非公開にした。

 

ユーザーにはどう見えるだろう。

ある朝起きたら、あとで読もうと思っていたお気に入りのコンテンツが、なくなっていた。

このときの感情を、考えてもみてほしい。記事非公開、運営側からすれば軽い開発案件だろう。場合によってはCMS上で完結できる作業かもしれない。

でも、それが失うものはとても大きいと思う。人は何かを知りたくて検索するし、情報が欲しくてコンテンツを読む、要件を満たしていたり、知りたいことを解決できるものがあればお気に入りをする。

それが、また取り上げられてしまうわけで、これにより「したかったのにできなくなった」ことが、日本中にどれだけあっただろう。誰かの何かとても大事な瞬間や未来を奪っていたかもしれない。

エクセル一行で完結できる話ではない。10億円がパーになったとか、首謀者とされている村マリさんまわりの体制を整えるのに50億円を超える企業買収や下地を敷いたとか、ここ何週間でDeNAは企業価値として800億円も損なったとか、「それは大変ですね、じゃあ社長がなんとかしましょうか」であんまり済ませてほしくない。感情的に、社外の人間として、業界人として、一ユーザーとして、もっとユーザーを見てほしい。頼むよほんと。

◆インターネットと人々

スマホとか、Twitterとか、最近ではネットからTVへ、TVからネットへコンテンツが行き来するようにもなった。

n番煎じUZEEEEとか言う人たちもいた。けどそれを含めて超いいな、って思った。昔は、「インターネットはTVの敵」「インターネットでTVをぶっ飛ばせ!!」みたいな距離感だったんだもん。

 

いつかの未来が確実に手繰り寄せられていて、人々とインターネットがすごく順調に近づいてる気がした。

今回の騒動で、また距離が空いてしまったとしたら、それはとてもかなしいことだと思っている。ほかのひとが気にしなくても、自分は重く受け止めている。インターネットが好きだし、その有用性はもっと広がってほしいと思っているから。

 

自身もサイト責任者として、なにがあってもユーザーだけは裏切ってはいけないし、悲しませてはならないと強く思った。

 

 

「ねえ、MERYもうすぐ見れなくなっちゃうの?」っていうメッセとかがくるんですよ。

 

なんていうか、月曜日からこんな熱量で言うのもアレだけど、超アレなのはわかってるけど。

インターネットを、よりよくしていきたいよな。

 

これに限っては、なんつって。

って言えない。

頑張る。