みなさま
おつかれさまです。高橋ディース。シャース。
3連休はいかがお過ごしでしたでしょうか、まだ台風とか結構日本にて猛威を振るいがちらしいので、各位適当にお気を付けくださいまし。
表題の件について、先日「ぺこったーのキャラクター戦略が超いい」みたいな話をしてみたりしてみたんですけれども、同ぺこったー内部で2016年の8月3日より、自動化されたレコメンデ―ション機能を「メカペコ君」として東京、神奈川で試験運用していたとのことです。
かわゆす。
限定的な地域、そしてエリアと条件を抽出し、DBと照合して回答する、そしてユーザーとの対話により精度が向上していくとのことで、おそらく機械学習系のアレが働いているのだと思われます。
まぁ普通に巷で話題の人工知能寄りのアレなんですが、個人的に感動したのはそのストーリー作りなわけです。
君の名は、よりも感動します。見てないけど。
ぺこったー、このサービスはブランド的にも実用性的にも大好きです。個人的超ヒット、最高。(あんま予約とかはしてないけど)
こんなサービスぺこな!!
ペコッターは、行きたいお店をふわっと質問するだけで
オススメのご飯スポットを教えてもらえる、新感覚のグルメQ&Aアプリぺこ!教えてもらったお店は、地図で一覧したり、そのまま予約を依頼できたりと、
もうグルメアプリはペコッターだけで大丈夫って感想が届いてるぺこ!お店を紹介して「いいね!」や「行きたい!」を集めれば
「ペコ」が貯まってアマゾンギフト券に交換できることもできるぺこ!質問してから、3分以内に1件以上、平均で5件くらいのお店が届くから
返事が来ない…なんてことはないから安心してぺこ!
検索するより簡単で色んなお店を教えてもらえるから、ぜひ試してみてぺこな!
飲食店の情報や予約アクションなどを軸にしたマッチングのサービスぺこな!!
Outlines
◆マッチングの公式【Input(量×質)×inventory(量×質)×照合精度(スピード×正確性)】
そもそも、ぺこったーのような「マッチングサービスモデル」においては、入力者の希望内容と入力内容のバランスが重要なUX要素だったりしております。
というのも、「たくさん入力させればレコメンドの精度が上がるが、ユーザーはめんどくさい」のトレードオフ×「辞書(ライブラリまたはデータベース)の在庫規模」×照合精度(スピード×正確性)といった公式が多くの場合成り立つわけです。
基本的に、大量な入力項目はユーザーを辟易させますが、さらにクソみたいなレコメンデ―ションに対してもユーザーはグッタリするわけですね。
また、サービスとして「東京で静かな雰囲気で食事のできる、上品な焼肉屋さん」みたいな検索キーワードで「該当するお店は御座いません」なんていうレスポンスも「んなこたないやろ」という気持ちをユーザーに産み付けてしまうわけです。別のところで探すわ、と。
逆に、最高なのは「さくっと質問したら、ズバッと内容のある回答が届くこと」であるわけですね。
Inputに対してOutputが割よく返ってくる、つまるところROI(投資効率)がいい、それが良い体験である、と。そんもんは10年も前からわかってたわけであります。なんだけど、
そんなモン自動化できないし、だったら人間に聞くわ、と。
やれ食べログだホットペッパーだぐるなびだ、がGoogleに最適化して情報を開示していようが、検索窓にキーワードを叩きつけるより人に聞くわ、と。
はてなさんの人力検索よろしく、「機械に聞いて、人間が答えてくれたらいいのに」と。
なるほどたしかにね、っつってやっちゃったのがこのブライトテーブルさんの「ぺこったー」なわけですね。
既存のマッチングモデルのWebサービスの限界を、回答精度という「質問体験」項目では一点突破してるサービスです。
人間って機械よりコスト喰うので、スケールはしないんでしょうけどね。っていうサービスです。
スケールしなさそう、それだけで、誰もあんまり作ってこなかったサービスなんです。でも、スケールしちゃいそうなのが今、キーになるのがめかぺこくんです。
◆問答の温度感を大事にしている。→失敗の回収がうますぎる。
スケールしないこのサービスの素晴らしいところは、「問答の体験や温度感をとても大事にしている」というところです。
サービス全体が「親しみやすさ」に特化しており、ぺこったーのキャラクターを全面にコミュニケーションの記号として推しだすことで「機械くささ」を無くしております。お見事。
まるで「人が答えてくれているようだ」をとにかく押していくことで、ユーザーに「善い体験(の記憶)を蓄積する」というロイヤリティの醸成サイクルを回せていけるわけですね。
また、このサービスの最強に素敵なところが「失敗の回収がうますぎる」というところです。
このサービスとユーザーがコミュニケーション(仮想的であっても)を行う際に想定されるコミュニケーションミスって
・回答可能範囲を物理的にオーバー
・単純にニーズを満たせる在庫がない
・微妙なニュアンスの異なり
・予約時間、立地などに対する精微なズレ
みたいなみたいな部分(その他多数)だと思うんですが(全然MECEじゃないけど許して)、キャラクターを活用する、バックエンドのコミュニケーションの担い手を人力にするということで、上手くユーザーの心象を毀損することなく回避していると思っております。
また、回避できなかったとしても、キャラクターの可愛さや人力による微妙な謝罪ニュアンスにより、かなりダメージを軽減できていると思います。
このサービス設計、マジで素晴らしい。
◆「とりあえず人工知能」「なんとなくチャットBot」とか言ってるオッサン括目せよ。これが今一番スマートな自動化移行だ。
さらに付け加えて、今後の進化の仕方まで素晴らしい。
【要約】 グルメ Q&A アプリ「ペコッター」を運営する株式会社ブライトテーブルは、2016 年 8 月 3 日より、「飲食店の自動レコメンド」を開始いたしました。「飲食店の自動レコメ ンド」とは、ユーザーの質問内容から希望条件を解釈し、ぴったりなお店を 1 軒教える ものです。「飲食店の自動レコメンド」の開始により、ユーザーがお店を探し始めてか らお店の回答がつくまでの待ち時間は、5 分から 5 秒に短縮されました。現在、ユーザ ーと機械が、対話しながら飲食店を探せる事を目指して、開発を進めています。
カスタマーサポートや、サイト内Q&Aなどの業務における人件費削減とコミュニケーションスピードの向上に対して、人工知能的なチャットBotの活用にスポットライトが当たりに当たる今日この頃ではありますが、どの企業も「いきなり導入→会話できず事故死」みたいな案件がとにかくとにかく多すぎる。
オッサンたちが居酒屋のビール感覚で「とりあえず人工知能」だの「なんとなくチャットボット」だの言っちゃうから、現場のエンジニアやディレクターは日々泣きながら「答えてくれよワトソン君」と深夜のPCに縋り付いているわけです。
実際のところ、こういった自動返答系の機能をリリースする際に、「顧客体験を損なわない」vs「学習効率を最大化する」というテーマでトレードオフが行われます。
その辺を突破してしまうのが「上手すぎるだろ」でマーケター人格の自分を感動させたメカペコ君であります。
・「メカだから」というストーリー的なサポート文脈で、ユーザーの入力内容を不自然さなくコントロールする。
・(メカだから)わかるところから担当していく。→精度を下げずに、局地的に学習が進む
・ユーザー参加型の必然性作り≒メカペコ君はワシが育てた、精神の醸成。
・「初号機」と記載することで、今後も改善されていく、という期待値のコントロール。
などといった、「機械学習をはじめるにあたりユーザーに担ってほしい役割」を「しれっと自然にやらせる」ではなく、逆に「メカっぽさを出す」ことで実現しておるのです。
これは導入前のプロダクトがよほど人間っぽくないとできない設定ですよね。
そもそもChatBotに多いコミュニケーション(問答)機能の自動化という目的に対して、0%→100%反映を行ってユーザーもサービスブランドも傷まみれになりながら最適化を進めていくような案件が多い中、「説明責任と、ユーザーに協力してほしい部分を明確にしたうえで」「ストーリー的に不自然にならないよう」「人力対応から徐々にリプレースし、ユーザーと対話しながら機械化を進めていく」というこの図、コミュニケーション設計、素晴らしすぎませんか。
なんとなくなビールに焼き鳥感覚でやれ人工知能だのチャットBotだのを現場やユーザーのことを考えずに言い出していたオッサン各位、目を見開いてこのプロダクトのwin-winな進化シーンを目に焼き付けるべきだと、私は思うのであります。
とにかく、ぺこったーさんのマーケティング担当者とごはん行きたい。
もちろん、予約はぺこったーで。
なんつって。