みなさんあけおめです。ベストバイとかマーケティングの予想うんぬんとか、休み中に頑張って書こうと思えるテーマって色々あるんですが、2024年通して考えていたことがちょうどよく落ち着いたりもしたのでそれにしようと思います。
タイトルにもあるけど、大企業(的企業)と生成AIというテーマ。自分も社員数でいうと数万人という規模の会社で働いているわけなんですが、個人としては結構外の流れを追いかけていたりもするわけです。
そんななか、内外で上記のテーマについて会話する機会がもちろんあったり、それ以上に個人的に色々考えたり予測したりなわけです。今回の文中ではさすがに本業側で出ている話はすべてカットして世の中の大企業をざっくり想定して記載するので、変な勘ぐりしてもらっても全然意味ない&あくまで個人の一意見として「ふーん、そう考える人もいるんだね」って受け取って貰えればと思います。
飲みに誘っていただければ、(無論守秘義務の範囲内における)軽いお悩み共有や傷の舐め合いができるやもしれません(といういつもの飲み人募集パターン)
ヨッシャ、さて参りましょう。
Outlines
「強い組織」の定義が変わる
大企業の体質変化を引き起こす
生成AI、世の中を騒がせていますが、それぞれ個々人からのビューとしては、産業構造の変化や事業(サービス、プロダクト)の進化よりも「企業の体質変化」のほうがインパクトがでかいと思っています。これは事業やビジネスを取り仕切るオーナーではなく、多くの人が企業に雇われる形で暮らしているタイプのワーカーであることも起因しています。アップサイドを伸ばして得する人よりも、まずはダウンサイドに飲まれないようにすることが生存戦略の基礎になっている立ち位置の人がより一般的で、数としても多いはずです。特に大企業(的企業)では、こういった話題に一定のアテンションを払う必要がある人の割合が高いのでは、とも思っています。
生成AIは業務担当を置き換えていくし、一定の職人を淘汰する
皆さんは業務中において生成AIをどれくらい使っているでしょうか?企業の規模ごとに、できること(して良いこと)に差があったり、できるようになるスピード(主に社内のガバナンス観点等)に差があるとは思いますが、さすがにもうほとんどの企業で何かしらの業務利用についてはいけそうな感じになってるんではないでしょうか。
正直、生成AIは一定の「担当者」という人間を置き換えうるものになると個人的には確信しています。AIと人間の対立構造よりは共生構造を語るべき、みたいな話をしているのではなく、実際に「(生成AIを社内に組み込むことで)特定の生産量を目指す際に必要な人間の数は減らせる」という話をしています。もはや具体的な事例等を当たったり、どのモデルがよくてどれがダメで、いくらでどういうことができるのかとか、何ができないのか、みたいな話は今更感もすごいし、SNSとかでそういう話をしてる人たちもいっぱいいるのでここでは割愛します。
とにかく言い換えれば「AIを活用する人材一人は、これまでの数人分の仕事をこなせる」ということになります。特にデスクワーカーであればここには全く違和感がないですよね。そして一般的に、人を一人会社に置いておくにはそれなりのコストがかかります。その人に対する報酬(給与)についてもそうだし、会社に所属しているということでその人からは見えないさまざまな管理コストやタスク、費用が発生しているわけです。
人員と生産量の最適化は経営にとってマイルストーンの一つになる
生成AIによる「人員あたり生産効率」の理論値の上昇は、「強い組織」の定義を変えつつあります。生成AIを絡めることで人間の生産性能が上がるわけですから、それらの生産量の積み重ねである会社の「売上の計画」(超ざっくりいうと)は今までより更に高い水準に上方修正せねばなりません。そしてできるのであれば、(計画としての妥当性がある前提で)なるべく経営陣は上方修正をしたいと考えるでしょう。
また既存従業員への生成AIを活用したワークフローの装着は、人を新たに雇うよりはコストがかからないことがほぼです。ただ、ここがうまくいかないと人員に対して期待した生産が行われないわけなので、上記で上方修正した計画はそのままいけば未達となります。そのままにすれば高さ(売上など)が、人を採用してなんとか間に合わせようとすれば利益が、未達となります。(むしろ、ここがうまくいかないから計画値を上方修正できない、という組織も少なくなさそうです)
一方で、自社ではうまくいかなかったが、業界内で近しいポジショニングをしている競合ではそれがうまくいってしまった、などであればこれは非常に由々しき事態です。生産性で負けることは、投資効率で負けるということ。会社にキャッシュがあったり資金調達でもされたら一気に差を広げられてしまう可能性があります。ヒヤヒヤもんです。
会社の経営や財務的な成績コントロールという観点でいえば、「会社で人間を何人抱えるべきか」(≒生産力と人件費の適正化)というのは経営陣にとって非常に大きなテーマ感になるわけです。そして競争環境の強い業界においてはその後の社やブランドの進退にも関わるポテンシャルを秘めたテーマともいえます。
これらを上手くやってのける、言い方をよりシンプルにすれば「人間(with生成AI)の生産性能のベースラインを更新し、経営計画に反映する」というタスクは、遠くない将来ほとんどすべての経営陣に割り振られることになるのでは、と思います。(株主が要求するケースなども多そうですね)
「大企業だから安定」は過去の話になりつつある
今までは、(多くの業界・シーンで)事業や数字は人が大きくするもの、であったため、「大企業(人がたくさんいる会社)」は直接的に競争能力が高く、故に潰れにくい、というロジックがあったと認識しています。要するには企業の生存能力と従業員数が相関していたともいえるかもしれません。
かつて「安定」の象徴と見られていた大企業が、生成AI時代においてはコスト(従業員)を大量に抱えているという点で、中小企業以上に生産性が上がり切らないというリスクを抱える存在になる可能性がある、と思っています。(個人的には大企業=安定、という見方自体にそもそも賛同もしてないんですが)
主に人員コストの観点からのビューという前提はありますが、上記のように思います。よりわかりやすく言ってしまえば「安心できる大企業」は生成AI込みで会社の計画をアップデートできた(あるいはできそう)なところ、逆に「安心できなさそうな大企業」というものが新しくカテゴリとして出てきたということかもしれません。(ずっとそうだっただろ、と個人的には思いつつ)
じゃあどうしたら安心できる大企業カテゴリに入れるのか、については、非常に多くの組織や企業がすでにやっているように、「生成AIを業務にうまく組み込むためのラボ的なプロジェクト」を運用するのが一番手っ取り早いのかなと思っています。
生成AI活用を将来予測に組み込む企業と、個人
事例で言えば枚挙に暇がないわけなのですが、以下のようなものが該当します。
「DNP生成AIラボ・東京」をオープンしてパートナーと新たな価値を創出
CARTA HOLDINGS、生成AIの社会実装を推進する社内組織「CARTA Generative AI Lab」を設立
また、個人的にはオープンハウスさんの「DX白書」が好きで2022年当時に「ここまでやるのか」と感動した記憶があります。KPIやKGIも置かれており、さらにそのなかにKGIとして「事業期間短縮」が指標として置かれているのが素晴らしいと感じました。成熟した競争環境において、生産性が直接競争力になるというのが解像度高く考えられているのだろうな、と思います。(営業力は言わずもがなですしね)
これらの取り組みの前提には、「生産性を上げるための専門人材」と、「それを装着される現場」、そして時々それらを橋渡しする人材が登場します。
最低限の指標で言えば、「AIを使えと言われたら使える現場担当者」を目指せば良いと思いますし、アッパー層をキャリア的に狙いにいくならそれ以外を攻めるのが良いのではないでしょうか。(バックグラウンドもなくいきなり生成AIの専門家を目指すのはかなり現実感ないので、結果的にはハブ的な人材として手を上げるのが一番バランス感ありそう)
ただし、そのなかで働く力学の一つとして「低難度な業務から代替されていく」というものがあります。つまり、人間の担当者に任される業務は、今後は難易度の高いものの比率が増えていくであろうということです。単純作業やルーティンワークなどの業務比率が高く、それ以外の業務にあまり関われていないという方は、もしかしたら早めにキャリアプランを更新したほうがいいのかもしれません。
大企業は生き残る。(だがそこにあなたはいるのか)
組織のダウンサイジングと個人
これまでいろんな論をひっぱり出してあーだこーだ言ってきたものの、正直に申し上げると大企業はそんな簡単に潰れません。上手くいけばより強く事業の数字を伸ばしていきますし、仮にDXに失敗したとて、ダウンサイジングして生き残ることは可能だと思います。(ネームバリュー、先行者益なども資産としては多分にあるため)
ただし、企業や組織がこの流れに対してより消極的な選択をするのであれば、そこには人員削減がセットになってくるのでしょう。代替可能性の高い業務(≒難易度の低い業務)は一定のコストをかけて自動化ないし省力化して、ある程度難易度の高い業務を行える人材比率を上げていく、つまりは少数精鋭化する、という選択がこのあ場合最も有効になります。
いわゆるリストラですね。
どこかで聞いたことのある話になってきたぞ、という感じですが、つまるところリストラ(リストラクチャー)なのでしょう。そうです。そこに対して生き残る人材になれるといいね、という話だったり、あるいは他の選択肢を見てみてもいいのでは、という話でもあります。生成AI時代になり、翻訳家としての職業がなくなる!なんてポエムも最近目にしたりしましたが、個人的には特定の職業が生成AIによって”消滅”することはまだないと思っています。が、代替される人はいるでしょうし、大企業こそ、その代替にレバレッジが効くので積極的に行うと思います。
大企業(的企業)以外のキャリアパス(中小企業への転職、起業、フリーランス、専門職、地方創生等のUターン、Iターンなど)などについてもあらためて検討してみても良いのかもしれません。もちろん、いまいる大企業(的企業)でスキルセットにAIを加えて生き残る、でも良いと思います。
どこに生きるにおいても、大事なのは「変化に対応できること」と学び続けられること」
どのキャリアパスを選ぶにしても、変化に対応できることと、何かを学び続けられることが大事です。そしてこの素養を持ち続けることが安定性だと個人的には思います。
たとえば自分が全く日々に変化を起こさなくても、どうしたって環境が変化します、これは資本主義なので仕方がありません。人が生きている時間にも価値を付与せざるを得なく、それにより効率の概念が生まれてしまいます。消費や決定に個人意志が存在するため市場はより良いものを求め続けています。この時代に生きている限り「変化のない場所に行く」という戦略は多くの場合、ワークしません。(機能するにしても成立させるための難易度がめちゃめちゃ高いか、そもそもチャレンジングです)
一方で、学びの機会も対象も増え続けています。Youtubeでもいいし、書籍でもいいし、詳しい知り合いに相談してみるとか、SNS(胡散臭い人たちがあまりにも多すぎるけど)でもいいかもしれません。なんなら生成AIに相談したっていいかもしれないですね。
生きていく方法が増えたことはポジティブに思おう
「大企業に就職すれば一生安泰」というものはもう昔の論理になりつつあります。マスメディア一強時代からさまざまなWebメディアや個人出版、マイクロメディア、ソーシャルネットワーキングの台頭による可処分時間の再差配が起こったように、個人の生き方についても似たような動きが出てきているんだなと思います。「一生同じレールに乗り続けること」は、いまや安定ではなくてそれなりに難易度のあるキャリアパスでしょうし、「大きな企業図体で生きる」ことにも、技術が人を代替し続ける今日においてはむしろハードなチャレンジになってきていると感じます。
どうせなら興味のあることに飛び込んでみる、少しだけ関わってみる、ことから始めてみてはいかがでしょうか。世の中にはプロボノというものも存在しますし、見えていないだけで日本にいる時点で、相当面白いことがいろいろ転がっている可能性が高いです。
まとめ
- 生成AIの台頭により人あたりの生産効率の理論値が向上した
- これにより大企業(的企業)は計画のアップデートを求められる
- 生成AIによる生産効率の改善の有無が企業の命運に関わる可能性がある
- 競争の激しい業界においては、むしろ大企業(的企業)に生きることはさまざまな変化や進化を求められ「難易度が高い」まである
- あらためてどのように生きるか、考えてみるとよさそう
どうやら年始っていうのは、「決意を新たにする」のにいいタイミングだということもあるのでね。これは誰でもない自分に向けた文章だったのかもしれない。
なんつって。
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