ていうか一週間一週間がめちゃめちゃ早くないですか。

この前1月が終わったと思いきやもう3月が終了しようとしています。なんでやねん。

引き続きコロナウイルスだなんだと世間が騒がしいままですがこうやって何もしなくても日々が過ぎてしまうので1日1日を大切に過ごしたいですね。

今週ちょろっと反響もらったアウトプットとして BALMUDA フォンの発売後の反響に関する寺尾社長のインタビューに寄せた自分の感想がありました。内容としてはこんな感じです。

BALMUDA Phone、実ユーザーからの声はちょっと毛色が違うとのこと。実機レビューはともかくネット上の反響はちょっと触っただけ(あるいはそれ以下)で批評家ぶりたい人たちの声だと思うので、そこはマーケティングに任せてさらに思想を反映した価値開発に期待したいね。https://twitter.com/Tklt_05/status/1492436025901481985

BALMUDA Phone、個人的には国内のメーカーが端末のスペックという単純な客観的指標のレースから抜け出して、別の価値で勝負しにいってるということには結構な意味があると思ってる。世界に目をやれば家電の性能過多に対する疑問もサステナ観点で出てきてるし、潮目もそう悪くないタイミングだと思う。https://twitter.com/Tklt_05/status/1492437156442566659

今回はこれについて思ったことをまとめました。

参考情報は本文にリンクで連ねています。10年くらい前に何があったのか、おもしろいのでぜひ読んでみてくださいな。

いまのバルミューダフォンは”いいもの”ではない。

個人的にバルミューダフォン自体はインターネット上で騒がれているほど悪いチャレンジじゃなかったんじゃないかなと思っています。

確かに自分が普段スマートフォンや買うガジェットを選ぶときに比較検討するフィルターに置くと、全く検討土台に乗っていません。まずそもそもハードウェアのスペックは全然高いものではなく、他社の機種を使った方が生活がより便利になるというところがあまりにも容易に想像できますし、価格も高すぎます。また入っているソフトウェアも自社製のものとのことですが、正直、以前から使い慣れている各専門企業が作っているサービスやアプリケーションの方が、総じて便利だったりするという事実があると思います。カレンダーにせよメモアプリにせよ、乗り換えに一定の労力も発生しますしね。

結論、乗り換えの可能性はゼロです。ただ、自分も「消費者のタイプのうちのひとつ」であることは自覚しています。(一応マーケターなので)

このバルミューダさんのチャレンジが勝てるかどうかに関しては、表面的なことしか知れていないので自分は全く分かりませんし、今のままでは全然きついだろうなというのが正直なところです。

ただスペック一辺倒な性能だったり、客観的な指標が用いられるスマートフォンの競争環境に、後進国である日本がどのように存在価値を示すことができるのか?という意味では非常に意義深いチャレンジだと思っています。

重要なのはストーリー

世界に目を向けてみればこの大量消費的な資本主義の中で必要以上のものを持たないであるとか、なるべく物事をシンプルに済ますであるとか、モノよりはコトにお金や時間を使いたいといった声が一定でできているという風に認識しております。

サステナビリティの観点でテクノロジーからある程度距離を置こうという風にして起こったiPhoneの有線イヤホンブームがあったり、kon-mari扇風がおりなすシンプル化や整理整頓、整っている状態への渇望、ノームコアファッションのように日々をなるべく平穏にシンプルに過ごしたいと言った価値観も少なからずはあると思っています。

この辺はバルミューダさんの思想とも一致するとか、侘び寂びを重んじる日本のブランド力が追い風になったりすることもあろうと思っていたりします。スティーブ・ジョブズも日本から大いにそのデザイン思想に影響を受けているという話もありますしね。

むしろ半導体開発やハードウェアの開発資材調達の体制、ハードウェア開発の知見、その他流通に関するところまで先進企業に対してありとあらゆる項目で大きく劣後している日本の戦い方として、このニッチな市場を逃すことは、いよいよもって今後の勝機がなくなることを意味すると考えています。

なのでこのチャレンジが勝てるかどうかには個人的にはあまり注目しておらず、日本のサービスやブランド展開における戦い方の一つの実績やパターンを作り上げられるのかどうかというところを楽しみに見ています。

ビジネスのポテンシャルというのは「切り口×マーケットサイズ」という公式で割り出したりしますが、ある程度ニッチでもマーケットサイズの大きなスマートフォンという攻め方は、下手に「ニッチ×ニッチ」を狙うよりは妥当性があるように思います。実は、いまはしれっと知らぬ顔をしてるあの会社あの企業も、スマートフォンを作ろうとして挫折しているわけです。それだけこの市場には可能性があり、そして難しい。

まずはプロダクトではなくプロジェクトとして改善サイクルに期待したい

プロダクトやサービスそしてそれらを開発する体制というのは日々進化していくものです。まずは市場にリリースをしそこから反響を得てよくなかったところを改善する、というのは現代のビジネスとして非常に当たり前のことだと思っています。(もちろん、その改善サイクルはソフトウェアとハードウェアだと全然異なりますが)

ということもあり、最初から素晴らしいプロダクトが出せるように目指すものの、それが実現できる可能性というのはかなり低いと思っています。

もちろんアップルや Google、サムスンなどのハードウェアメーカーがチャレンジングなプロダクトを出してそのまま一定の成功を収められるというのは、彼らにプロダクト開発のためのノウハウやアセットがしっかりあるからです。そしてそれらは過去の大ヒット商品によって作った利益や業績、開発知見、ブランドイメージといったものに支えられています。バルミューダに関してはそれがまったくないという状態なので、第1弾のプロダクトが80点以上のものが出てくると言った可能性は限りなく低いと個人的には考えていました。なんならリリースされないとも思ってました。

まずは出してみる、そしてリアルな顧客の声を聞く、というところができていれば新規事業開発としては御の字なのかなと思っています。但しハードウェアプロダクトを作るためにはデジタルのプロダクトに比べて非常に初期費用がかかりますし、維持コストもかかります。

また外部からは会社のサイズ的にその投資額が適切な範囲になっているかどうかはわかりません。もしかしたら経営判断として危ないものになっているかもしれませんし、期待した通りそこら辺がしっかりカバーされているのかもしれません。(この辺は開示情報を読み解く形で補完しましょう)

ニッチマーケットの攻め方

インターネット上に溢れるバルミューダホームへの反応というのはおよそひどいもんです。ただ、おそらくなんですがほとんどの人が使ってない、或いは店頭で軽く触ってみたものに対するフィードバックになっているのかなと思います。少なくとも、「買った人」に対して、「レビュー(ぽい情報)」のほうが多すぎるからですね。

ファーストインプレッションや、「軽く触ってみた感じ」、というのは、肌身離さず持ち歩くスマホの購入のためのファクターとしては、もちろん非常に重要ではあると思うのですが、おそらくニッチ市場を攻めていくこのプロダクトについては、そのインジケーターの優先度は現状そこまで高くないと思っています。たぶんですが、搭載されているメモリ、CPU、下手したらストレージさえもどうでもいいのかも知れません。LINEとメールができればいいわ、という人たちや、「LINEとメールのみ」というのが真のスタイリッシュなライフスタイルだ(?)と考える人など、いろんな購入動機はあるかもしれません。

まずはプロダクトの世界観の熱烈なファンを獲得し、そこでより深いインサイトを掘り下げ、機能実装にこぎつける。そうすることで他社との差別化幅は大きくなります。そしてエッジの効いたプロダクトとコミュニティの中で構築した参入障壁に則り、自分たちのやりたいことややるべきことで、しっかりと利益を出していくビジネスにするのかなと思っています。なにを言おうと、かのAppleが数十年前のパーソナルコンピュータ分野でそうやっておおきくなったてきたわけですしね。

フォロワー(後進国)としての生存戦略は応援したい

持っているリソースや優位性が少ない、それはバルミューダも日本という国も同じだと思っています。このプロジェクトは間違いなく茨の道ですが、もしかしたら日本のプロダクト開発の視界を切り開き、スケーラブルな方程式を示してくれるかもしれません。そういう意味で、勝てるかはともかく、僕は応援しています。

自分は(Google帝国の住人なので)買わないけどね。

なんつって。

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