おつかれさまです。高橋です。

騒がれております、食べログ。カカクコムの株価ももろに打撃を受けたようで、大変ですね。

先日若干燃えていた遺伝子っぽい会社は多少救われた気持ちになったかも?

などはさておき、これについて言及してみたいと思います。

 

 

 ①起こった事の整理

ネットを見る限り

・食べログの点数が3.0点にリセットされる店舗が複数発生した

・予約機能を使うよう促された

・(食べログ内の)検索順位が下げられるような話を受けた

 

が、大体の事象ベースの概要であることがわかります。

 

ちなみに

店舗側の声がなんとなくまとまってるのはこちら。

食べログ、踏み絵方式で飲食店の評価を3.0に強制リセット

→市況かぶ全力2階建てさん。明確な意図はないにせよ、「食べログふざけんな」なご意見がまとまっております。

 

事の発端(?)としてTwitterにPostしたウルトラチョップさんに実際にインタビューしたファクトを掲載してるのがこちら。

食べログ「点数」操作疑惑 渦中の飲食店経営者がやり取りの詳細明かす

→Buzzfeedさん、しっかりと最速で取材入れて公開するところが毎度さすがですね。対話形式に近いので、ミスコミュニケーションや情報の非対称性が見て取れてよいです。

 

そんで食べログを運営するカカクコムさんの声明がこちら。

「食べログ」レストラン向け広告商品改訂のお知らせ

 

およそこれらで事の概要はつかめるような気がしますが、実際に「事実がどうか」は不明ですね。なんにせよ、食べログ側と店舗側でコミュニケーション不全が発生している様子です。

 

店舗の方とカカクコム側の営業とのミスコミュニケーション、そしてそこに重なるアルゴリズム変更といった状況が、不運にも「食べログの予約システムを利用しないと点数がリセットされ、検索順位が不利になる」という推測をリードさせてしまったように感じます。

②事業運営の立場から考えてみる

実際、サービスとして食べログは強いです。

実際に閲覧され、ユーザーの意思決定に利用されておりますし、市場への影響力もあります。

 

カカクコム社がそれこそ「価格コム」で成功してきた購入顕在層の比較ファネルへのアプローチは、家電だけでなく食事の意思決定でも十二分に機能しました。

これは俗にいうアクションレイヤーの事業会社、Amazonや楽天、飲食で言うとぐるなびやホットペッパーなどとは綺麗に棲み分けが出来ており、さらに言うとアクションへの意思決定に携われる分、そういったプレイヤーに対しては優位に主導権を確保できる立ち位置でした。

 

では彼らが何に困るか、というと、そこはマネタイズになってくるかと思われます。

実際に、ユーザーのアクションアシストには介入できますが、アクションの実行は他社のプラットフォーム上で行われます。

大量のトラフィックをサイトとして、また来訪するユーザーの特性としてアフィリエイトで生計を立てることはできますが、お金(広告費)の出てくる広告主への直接的な交渉手段に弱く、ビジネスとしては粗利率が低いのが比較検討レイヤーの弱点です。

食べログでいえば消費行動に移るユーザーをプールできているので、予約やクーポンといった「いわゆる販促施策」を実行することで、アクションレイヤーの領域にもはみ出すことが構造的には可能になります。これは美味しい果実。

 

というところで、予約ノートのリリースや、各種の提携があるわけですね。

一方で、ぐるなびやホットペッパーの営業が昔から頑張っている以上、各々の飲食店には既にこういった予約管理のソリューションが実装されていることが多く、食べログとしてはそこをかいくぐり、契約を取ってこねばなりません。超大変。

IT業界の闇のひとつなのですが、どうも営業に対しては「頑張ればできる」という謎の価値観が蔓延しており、きっと今回も”頑張った”結果なのではないかと思えて仕方がありません。

特に、いままでこういった強めの営業を必要としてこなかった企業である食べログは、ボリュームと営業の強度を補完するために、おそらく営業代理店を活用していたのではないでしょうか。そして、「検索うんぬん」「ソリューション契約しないと不利になるよ」というのは、もしかしたらその間で発生した情報で、食べログ側は直接統制することができなかった、のかもしれないとする意見が今の段階では最も筋として自然かなあと思う次第です。

 

また、検索結果の変更についても、よくよく見てみると「予約機能を持つ店舗の順位向上」といった内容で、「予約機能を利用することで順位向上の可能性がある」という内容になっており、直接的に点数リセットには関係がない様子です。

一方で点数リセット側のルールは「一定期間食べログ側のソリューションを未契約であること」に近い内容になっており、これは場の提供者として店舗から多少の利益をもらってもよい条件な気がしております。(具体的な塩梅は不明なので断言はしにくいですが)

事業社目線でいえば、予約アクションを契約店舗に提供できることは、市場での自身の立ち位置をより健全にする行為であり、それらが検索結果面に増えてくるというのは(一般的に)ユーザーに対しても事業に対しても合理的であるようにも思えます。

少なくとも、「営業至上主義」のそれにはつながらない気がしており、営業管理と伝わり方の問題だったのかなあ、と。

 

CGMとして、国内の外食市場において最強のデータベースになりゆく食べログ、サービスの調子はよさそうですが事業運営観点のハンドリングが問われております。今後の巨人の歩き方に引き続き注目です。

 

なんつって。