はいどうも。なんだかご無沙汰ですね。

 

久々に専門的なことを考えます。

SMX EAST2017という検索エンジン最適化、いわゆるSEOな人たちで賑わう毎年恒例のイベントがあるんですが、そこで講演された同イベント定番の SEO Ranking Factors In 2017: What’s Important, What’s Notというセクションを、いい感じに日本語にしてるエントリを肌感覚による主観も踏まえてさらにサマってみました。

 

調査概要

 

調査の仕立てとしてはSEMRush社が2017年5月に公開した、SEMRush Ranking Factors Study 2017 のデータを紹介。

キーワード数60万(うち米国は20万、ほかドイツやスペインを含む)、検索上位100サイトを対象とした統計的な調査を実施。ということで日本語のような言語に直接流用できるかはちょっと考えないとですね。クエリのタイプや文法、単語の持つ意味の副次性などが異なるので。

ページ内要因(On-Page factors)、参照ドメイン(Referring domains)、トラフィック情報(Traffic Data)の3軸から分析を行った。

キーワードは検索数に応じて4段階(Very High > 10,001, High 1,001 – 10,000, Medium 101 – 1,000, Low 1- 100)でグルーピングしているとのこと。

 

 

調査結果:ランキングに影響を及ぼす(及ぼさない)いくつかの真実。

この中で話されていたのは下記の諸々。

 

  • HTTPS:検索数が高いキーワードの上位トップ3に入ったドメインの65% は HTTPS を導入(※ HTTPS だから検索順位が高いわけではない、後述)。HTTPS はランキングの大きな要因ではないが、コンバージョンや来訪者への信頼醸成には役立つのでは。

 

  • コンテンツの長さ:上位3サイトのコンテンツは、それ以下(20位まで)のサイトよりも45%長い。すべてのキーワードボリュームで同様の結果だった。

 

  • ロングテール(のキーワード)はショート~ヘッドよりも20% コンテンツ数量が多かった⇒提供するコンテンツが十分か確認すること、それが関連性があり、ユーザーの意図に合致していることを確認すること。

 

  • キーワード:検索数が多い(High-Volume)キーワードでランクインするドメインの35%はタイトル要素にキーワードを含んでいない。

 

  • アンカーテキスト:アンカーテキスト内のキーワードはほとんどランキングに影響ない。検索数が多いグループ(High-Volume)でもアンカーにキーワードを含んだリンクはわずか8%だった。(※ 2004年前後はリンクへのキーワード挿入率は70%程度が推奨とされていたので、時代の流れを感じさせます)

 

  • 訪問者数:High-Volume グループにおいて訪問者数は影響あり、検索数が少ないグループでは影響は小さかった。ダイレクトアクセス(※ ブラウザの検索欄/アドレスバーから直接、サイトへ訪問すること)を除いてデータを集計すると、来訪者数はランキングに大して影響していないことが判明。

 

  • ユーザーシグナル:トップ3以下のサイトでは直帰率が上がっていた(※ 関連性が高いと判断したサイトを検索上位に表示しているのだから、当然だと思う⇒直帰率と、どんな検索クエリでサイトに訪問しているのか確認すること

 

  • その他:セッションあたりのページ閲覧数:3から3.5。バックリンクはまだ重要、特にミドル~テールのキーワード。

といったところですかね。専門外の方からすると「はい???」って感じだと思いますが、なんかこういい感じに飽きちゃったら関連記事をご覧くださいませ。

 

最近のわたしと、新卒のときのわたしの話です。

【2017年上半期の29選】29歳男子の怒涛のゲームあり夏フェスあり、買ってよかったもの一覧
自分が新卒1週間目に思ったことが、だいたい今もそうだと思った。

 

SEO Ranking Factors In 2017を通して。

 

ぶっちゃけ、このセッションで話されてる内容自体は、ほとんど価値が薄いと思っていて、うん十万円も払って聞きに行くほどではないかな、と思っていた。もちろん他のセッションもあるので、イベント全体ではよさそうなんだけども。

 

ただ、結局のところ検索エンジンマーケティングって、Googleや各検索エンジン事業社のアルゴリズムがブラックボックスが故に、「いや、なんかこういう気がするんだよな・・・」とか、「最近このアルゴリズムちょっと強まってない?え」「わかるー!!!!」みたいな、結構そういう暗闇の中を生きているわけでして検索マーケターは。そういうのをデカ目のデータで再確認できる場とか機会としては(精神衛生上)ありがたいのは確か。

個人的にも、普段から持ってる仮説とか感覚みたいなものが、ある程度データで客観性とか再現性を持ってることがわかったのは嬉しかった。(というか安心した)

 

っていうわけで、ふーんってなったやつ。いきましょう。

 

 

・ふーんと思ったもの

>コンテンツの長さ

上位3サイトのコンテンツは、それ以下(20位まで)のサイトよりも45%長い。すべてのキーワードボリュームで同様の結果だった。

→ボリュームはまだなんかありそう。キュレーションなんちゃらが結局のところ頑張っていたコンテンツの網羅性みたいなもの、あれって実際にちゃんとユーザーから見てもワークすると思うんだよね。アベレージ45%って結構長いな、と思ったんだけど、どうでしょ。ほぼ1.5倍ってことでしょ?

やはり情報量とかそういうオンページな評価っていうよりは、滞在時間とか直帰率みたいなUX評価である程度は効くんじゃないかなーと思ったし、分割されてたり評価が分散しているところは統合する価値があるのかもね。

Web以外のメディアでも、そもそも「知りたいことが体系的にヌケモレなく掲載されている」っていうユーザー体験はもともと評価に値するものだったし、”文字数に固執する奴は悪だ1!!”みたいなのは、そもそも手段が目的化してユーザビリティを損ねてたからっていうのが前提ですしね。個人的には短絡的に情報量=悪とはしたくない。

なので、有用な情報量は増やせばいいとおもう。というわけで本項目は納得感あり。

 

>Titleとキーワード

検索数が多い(High-Volume)キーワードでランクインするドメインの35%はタイトル要素にキーワードを含んでいない。

→インテント的な?いわゆる旧来のキーワード拾ってくるマシーンな検索エンジンとは異なり、完全一致じゃなくても意味的にGoogleが理解&応答できるようになってるってこと?

あるいはキーワードの競争率が高い所だと、ハイパワーゴリゴリデータベースみたいな法人サイトたちが群雄割拠してるので、そういうサイト信用性みたいなものが効いてる?(クエリ一致<関連性でかすってるサイトの信用性みたいな構図)のか?

というわけで、実感値もほどほどに検索エンジンマーケティングの非常に近視眼的な範囲が心配になるデータでした。

でも音声アシスタント経由の検索クエリなんかが増えていくと、今後はどんどん検索キーワードは口語体に近づいていくかも。とは思っていて、それってSNSウケするコンテンツのタイトリングとは相性がよさそうだったりするよね。

「ねえGoogle、いま一番わたしをきれいにしてくれる、この辺の美容室は?」みたいなクエリに応えるのは”2017年の最新髪型トレンドをマスターしてるXX駅付近の美容室TOP10”かもしれないし、

「ねえGoogle、中華料理が食べたいんだけど」みたいなクエリに応えるのは”【どっちが早い?】エビチリを買ってくるVS自宅で作っちゃう”みたいなコンテンツかもしれない。

ううーーむ。Googleの進化自体は目を見張るものもあるし、でも結局Titleマーケティングやキーワードマーケティング自体は必要なアプローチなわけで。その洗い出し方とか採用の仕方が、意味ネットワークを意識して若干変化させるべきポイントなのかもなって思ったわけでした。

 

>アンカーテキストの有用性

アンカーテキスト内のキーワードはほとんどランキングに影響ない。検索数が多いグループ(High-Volume)でもアンカーにキーワードを含んだリンクはわずか8%だった。(※ 2004年前後はリンクへのキーワード挿入率は70%程度が推奨とされていたので、時代の流れを感じさせます)

→決定的じゃないお守り的なお作法の意味合いは本当に結構薄れてきてるのかもなあ、そこにあまり疲弊しすぎないようにしたい。

コンテンツSEOとテクニカルSEOを分けるつもりはないけれども、ユーザーからしたら見えない部分はどうでもいいわけで、割けるリソースが決まってるなら前者に集中できる環境を、Googleは実現したがるだろうねえ。

 

>非検索&広告訪問者数

High-Volume グループにおいて訪問者数は影響あり、検索数が少ないグループでは影響は小さかった。ダイレクトアクセス(※ ブラウザの検索欄/アドレスバーから直接、サイトへ訪問すること)を除いてデータを集計すると、来訪者数はランキングに大して影響していないことが判明。

→わかりにくいけど、これつまるところ「high volumeグループにおいては、ダイレクトアクセスがランキングに影響している結果が出た」ってことになる?

そうなると、検索マーケティングの白地作りに、マスマーケティングとか、オフライン広告みたいな、おそらくどの会社も組織や予算、目標が分断されているであろう組織との協働が必要になってくるよね。ブランドマーケティングとかって、(手段ではなく目的のレイヤーなので)チャネル(≒手段。広告とかSEOとかSNSとか)とは別次元(期待する効果や回収期間、評価対象となるKPIなど)で話されるべきなんだけど、投資対効果(roi)を重要視する企業風土だと、そういうのも難しいんだろうなあと思ってしまう。

とはいえ、今後マーケティングの世界は全体最適をベースにした投資回収効率の総力戦になることは目に見えていて、早急に解消しないといけない課題なんだろうと思った次第。

納得というか、ですよねえ。ってなかんじ。

 

 

◆その他備考など


 

>統計アプローチのSEO は基本的に、業界の多くの専門家がある仮説を支持するようになった「後」に統計的に裏付けをするだけなので、新しい発見は出てこない。データで見てもやっぱりそうだよねとみんなで納得する場なんだと思う。

 

ほんとそれ。そうなんすよ、だから楽しいし、しんどい。

明日はなんとかフライデーだったっけ?

しーらない。

 

 

なんつって

 

 

エントリ内の引用・参考はこちら。(いつもありがとうございます。)

http://www.sem-r.com/seo/20171025005204.html