2020年デジタルマーケティング業界の変化と2021年の展望

Ad考

みなさんあけおめことよろです。いかんせん筆が遠のいているんだけど、実は下書きみたいなのはいっぱいあるので、今後はちゃんと投稿していこうと思ってます。(N回目の決意)

ということで今回は表題の通りで、いろいろあった2020年と、これからまたいろいろあるであろう2021年について、自分のお仕事の周り(プロダクトマネジメント、殊にマーケティング軽油のそれ)の変化と対応についてちょっと考えてることをアウトプットしてみようと思っておりまする。

全体感として、やはりどうしても無視はできない新型肺炎のもたらした影響と、それに伴った業界や業態の変化、全然関係ないけど昔からの傾向と時代の流れとしての変化、みたいな単位でまとめられればいいかなと思ってます。長くなりそう。

全体環境の変化とマーケティング活動の文脈の変化

捉えるべきインサイトの精度確認

今回、過去例を見ない規模で、人々の生活様式がガラリと変わった。これは各企業やサービス、ブランドごとにそれぞれの捉え方があると思うのだけど、そもそもそのキャッチアップをちゃんとやらないとね、というのはまず声を大にして主張したい。マーケティングそれ自体は消費者や声を届けたい対象へのアプローチのための手段であって、まずは消費者の動向変化や価値観の変化をいちはやく捉えるべしなのは、今までも無論そうなのだけど、この変化の中さらに重要性を増した。この辺は人と直接話すのが難しい環境下ではあるものの、一方でオンラインでのミーティングが普及したことを追い風と捉え、過去のユーザーインサイトや定量データの精度を確認する意味でデプスインタビューやユーザーヒアリングを細かく実施するのも良いと思ってる。

“世間様”とプロダクトのエコシステムにおけるスタンスの確認

世の中的な正しさと、企業やプロダクトとしての正義の間には、常にユーザーやサービス提供者を含めたステークホルダーの持つ独自かつ共通の正しさ(共通の価値感覚)、というものが生じていると考えていて、それがサービスを運営していく中で堆積してきた今までとは打って変わり、未曾有のインパクトをもってして一度新しく作り変えられるこのタイミングで、改めて世の中で起こっていることや、推奨される行動様式に対する評価・従う従わないなどについての目線は揃えておくのがよいのだろうなということです。

攻めるべきポイントが見つかれば、それはそのままビジネスチャンスやプロダクトの成長機会になるかもしれないし、守るべきポイントに関しては(文字通り)ユーザーやクライアント、そして自分たちのサービスをしっかり保護していくことで、各方面へ信頼を高めていく。そういった文脈を、少なくともプロダクトのオーナーやマーケティングのチームでは最新化しておくのがよいでしょう。

正義感の熱に押され監視の強まるUGC領域とサービスの声明

ブランド、サービス提供者側がいろいろな発信方法を手に入れたのと同じく、ここ10年くらいのソーシャルメディアやスマートフォンの普及により、消費者一人一人が発信する機会を持っており、それを年々強めているという流れも相まって、社会的な正義や善悪といったフィルターに対しても敏感である必要性が増していると考えております。

特に今回の情勢は、人の命に関わることもあり、また国や政府、自治体の動きも活発なため、いちマーケティング活動を通した民間企業の立ち回りについてはより一層慎重にならざるをえないタイミングなのかな、と感じていて。

個人的な見解としては、そういうネタは「よほどいい手が思いつかない限りは無理して攻めるべきでない」です。オプショナルな成長材料に関しては、今のところ事業の計画に反映してしまっても、世の中の掌返しが非常に予測しにくい状況だし、かえって不誠実な成長加速に陥る発端になってしまうことが危惧されるので、あくまでサービスやそれを囲むチーム、外部のステークホルダーをクリーンに保つケアを優先し、着実に「攻めの守り」を決め込むのがいいんじゃないかなと思うことが多い。こればっかりは、意思決定者の性質によるものも排除しきれなかったりするのかな。自分的には、どうも堅くいきたくなっちゃうのよね、みんなの幸せとかも考えると。

生活様式の変化とそれに伴うメディア間のシフト

基本的に、どの調査を見てみても「生活者のメディア接触時間の総合計は特に従来予測の差分なし(過去最高を更新)」とのことだが、その媒体、みている内容やメディア接触の意思決定のインサイトなどについては変化がみられるため、良いコンテンツや訴求、プレイスメントを考慮する際には意識しておきたい。

ここ2~3年から「掌返し」された価値観に注目する

2020年“いつもと違う夏”のメディア視聴行動を振り返る - Intage 知る Gallery
コロナ禍に天候不順、2020年の”いつもと違う夏”の生活者行動を、メディア接触ログデータで振り返ります。

あとは博報堂さんの定点調査などにも変化がしっかりと出てきている。当たり前っちゃ当たり前だけど、こういう風に「ざっくりと世の中の(どの層が)何割くらいそう思ってる」という破断間隔を持っておくことは非常に重要だと思っている。たとえば、マーケティングや広告、プロダクトマネジメントに関わる人々の周囲ではリモートワークが当然の流れになってきたが、実は世の中的に見ればそれは少数派なのである、など。そういった基準を持っておくことで防げるミスジャッジも意外と多い。

2018年から2020年にかけて大きく変化した生活者

https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2020/11/20201104.pdf

また映像系コンテンツの消費もジャンプアップしたことを、体感する人も多いだろうが、調査としても同様の結果が出ている。

1週間に平均して何時間オンラインビデオを視聴しているか」を聞くと、グローバル平均は7.91時間。新型コロナウイルス感染症の影響によりステイホームが発生したことで、前年比16%増と、1時間以上伸長した。国別で比較を行うと日本は、前年の4.8時間から7.2時間と、調査国の中で最大の伸びを示した。

https://webtan.impress.co.jp/n/2020/12/02/38335

一方で、じゃあ何がみられているのかというと、結局はテレビの転載コンテンツだったりする。

「オンラインビデオの視聴時間の中で、視聴しているコンテンツの種類」を聞くと、最も人気だったのは「テレビ番組の配信」(グローバル:4.6時間、日本:5.2時間)だった。一方その他のコンテンツ種類で、日本はすべて、グローバル平均を下回った。特に「映画」「ゲーム実況」「ビデオ会議」「オンライン教育」「ソーシャルメディア/UGC」の視聴時間は、調査国中で最低だった。

https://webtan.impress.co.jp/n/2020/12/02/38335

完全版はこちら

ユーザーの時間は増えない、時間の使いかたが変わっただけ

また、若年層などでは学校の通学状況の変化により、浮いた時間がソーシャルメディアに流れるという傾向もみられた。

次にSNSの利用時間の変化についても聞いたところ、平均で21分の増加となった。特に若年層で増大しており、10代は53分、20代も30分増えた。
YouTubeについては平均で30分増。やはりこちらも若年層の利用時間が特に増えており、10代は59分増加した。新型コロナを受けた緊急事態宣言では、学校の休校や在宅勤務が急速に広がった。外出自粛によって上記のメディア視聴の時間が増大することで、消費者の嗜好に加え、報道から受ける影響が変化する可能性もありそうだ。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2006/22/news113_2.html

といったように、少なくともマーケティングする側からすると、以前と同じようなコストやプレースメントの貼り方をするともったいなかったりする。(という一方で、各社まずマーケティング費用は削られる動きが多いとは思うが)

浮いた時間がどこに流れるのか、流れ着いた先でどんな時間の過ごし方をしているのか、そこに自社のプロダクトやサービスはどういった介入ができそうか。商売における勝ち負けが変わるときは、世の中の動向が変わるときであることが多い。テレビ会議やビデオ通話という観点で、広義のブロードキャストが普及し、シニア層には信頼性という観点でアプローチしにくかったオンライン決済は非接触である正義に押されて伸びてたりする。

あくまで不確実な要素や不安要因は初年度であった2020年からは”比較的”薄れてきており、次は持続可能性という観点も加わったユーザーの新しいライフスタイルとインサイトをうまく捉えて誠実な成長ができるかどうかが試される年になりそうですね。がんばりましょう。

デジタルマーケティング業界の変化と展望

さて、世の中の流れと同じくらいキビシーと思わされるのがこちら。追う方も追う方で必死にならないと全然最先端の風向きを掴めない。

オンライン広告領域:”だからこそ”で競合に対し優位な配信設計にフォーカスせよ

オンライン広告の領域に関しては、以前にも増して商品・プロダクトの企画とくっつくことになる流れがきてると思ってる。これは前述したところと重複もするけど、よりダイレクトに「広告費」が発生するチャネルにおいて、商品のタイプや品揃えの最適化、消費動向といったものは自社の優位性となって広告の効率改善に必要不可欠であり、また同時に競合に対して不可侵な領域となり効果の最大化に活用されうる資産だからだ。

特にデジタルプロダクトにおいては、単純な広告配信エンジンやプラットフォームのチューニングだけではなく、自社データの有効活用において、競合を上回る効率の実現が必須になってくる。(広告費の大きな業界に関しては、すでにそういう競争になってるとも思う)

基本的に、広告というのは「いい場所の取り合い」なので、相対的な競争が大前提となる。意外とこの観点が抜けもれて運用されたり設計されていたりするので自分も気を付けたい。

ちなみに、ここでいう自社の優位性については、あんまり「ぜろぱーてぃー」的なものは考慮していない。そもそもそのロイヤリティに位置するユーザーは、サイト上やCRMでのアプローチのほうがコントロールしやすいからだ。そこは広告配信担当が、全体チャネルのユーザー接点とその特性をどこまで把握し切れるか、というところに懸かってたりするんじゃないかなと思う。むしろ広告というのはそういった施策のテストであったり、あるいは情報を連携されて動き出すといった打ち手のほうがむいていると思う。

SEO領域:「SEO」という言葉をなくすことを目指すSEO

続いてSEO(おもにインハウス担当者目線)に関して。

これはもう2−3年くらい前からずっと言ってるんだけど、今後も引き続きUX/ UI部署等とつながっていくことになる。これはもはや何も新しい話ではないが、Core Web Vitalがランキングファクターに採用されるといった宣言からしても、もはや単一のSEO担当者がいろいろやるより、「SEOという観点」をプロダクトの開発ラインに実装して、取り仕切る方が現実的になってきているためだ。

Web Vitals の概要: サイトの健全性を示す重要指標
Google が手掛ける新たなプログラム Web Vitals について紹介します。これは、ウェブで優れたユーザー エクスペリエンスを実現するために重要と思われる品質シグナルの統合ガイドを提供する取り組みです。

賢くなっていく検索エンジンに対し、サイトパフォーマンスとユーザ体験がSEOの順位向上に占める割合が引き続き大きくなる傾向は今後もそう崩れなさそうだ。

その一方で、「そうならなきゃいけないんだけど、なんかできない」という組織も多いと聞く。その多くの理由は「外部組織にROIを用いた説明がつかない」「そもそも計測するための試験と指標、その合格点がうまく定義できない」といった内容が数年前から変わらず多いようで、なんならもう「SEO」という単語をあえて出さない方が、結果的に検索結果の順位に効いてくるんじゃないか、とも思えてくる。

そういうところからも、もはやSEO担当というのは施策の難しさと戦っているのではなく、組織だったり、頭の硬い偉い人といった社内での闘いにこそ疲弊しているんだろうなと思う。幸い、横のコミュニティづくりは国内でも比較的活発なようなので、折れない心を持って2021年も頑張って行きたい。(なぞの抱負)

アプリマーケティング領域:過去最大の転換期かもしれない

最後にここ数年で最も大きな変動があると思っているのがアプリの業界のマーケティング。こればっかりはみなさん本当にお疲れ様です、と頭が上がらない。主に成果の計測と蓄積を前提とする施策のフィードバックループによって最適化してきた(と思ってきた)世の中の「投資の常識」が見事にぶっ壊されかけている。

iOS 14のリリースによりアプリマーケティングに激震が走りつつある。今までデジタルにおけるサービスやプロダクトの成長に関してはデータドリブンマーケティングをしていくことが基本的にはトレンドであった。投資対効果を定量的に示すことができ、それが成長をミスなく予測し、持続するための手を打ちそのための投資を継続して行っていく、その戦い方がこの領域の優位性であった。

年々、取得可能なデータがどんどん増えていき、データに基づいた施策やユーザー接点の設計と実行が技術的にも開花し、精度が高く意思決定ができているとされる中、誰が「いっぱい取れるデータの数が激減する」なんていう変化を想定しただろうか。これにより、既存の成長方針やノウハウに対する解釈をどこかで変えなければならないのかなというのがひとつ思っているところだ。

このままだと、特に初回インストール関係の施策においては以前のように効果があると計測されたPDCAに投資を集中させていくのではなく、数少ないデータの中でどういった解釈をし、見えている範囲内で状況が良い・あるいは状況が良くないことを判断するのかというところが試されていくことになる。この場合、方向性としてはSEO担当のような道を行く将来が見えてくるように思う。運用できるドライバーが、配信の最適化側から減っていくのである、そうなるとKPIツリーにおけるユーザーの動き、反応への最適化余地にリソースを投じねばならない。自社のアプリ内で取れるデータを元に、広告配信側に対してチューニングされたROIではない、別の指標でポートフォリオを設計し事業貢献をする、そういう未来になるのかもしれない。

という話を一昨年の春にしてたんだけど、それがほんとになっちゃうぽいね、っていう。

つまり変化が起こるということはピンチが生まれることだけではなく、その対極にはチャンスが必ず訪れている。
インターネット広告に関わる多くの人たちは、心のどこかで「見えない像」へのクリエイティブなチャレンジを希望ないし渇望しているんじゃないだろうか。マス広告、オフライン広告、セールスプロモーション、戦略的PRとは異なり、唯一オンライン広告だけが、的確なトラッキングとログの蓄積、それに伴う効果フィードバックとアルゴリズムの即時調整と機械学習という運用レバーを得てしまったが故に、情熱や大胆な仮説をエクセルの数字に潰されてきたのではないだろうか。

https://nagaregoto.com/post-itp-marketing201

なにはともあれ、どのチャネルにおいてもデジタルマーケティングがドヤ顔で築いてきたいままでの投資の常識をここまで外れていくものはない。あるいは、デジタルに計測の取れないオフライン(OOHなど)の投資・評価のプロセスにヒントがあるのかもしれない。とにかく、このまま状況が変わらなければ上記した世界観の到来は間違いないので、個人的にも注目したい分野ではある。

まとめ(まとまっているとは言っていない)

総合して考えるとやはりどのマーケターも特定の外部領域大分部署との連携スキルの近道などがテーマになってくるなと思うわけで、持つスキルや経験を機能的な深堀りだけでなく、横に広げていくとか、特定の商圏だけでなく異なるジャンル・業界の性質理解にもチャレンジしてみるとか、そういった知見のネットワーク化というのが大事になってきそうだと思う次第。

個人としては、自分の在籍する組織・企業でそういったキャリアパスの選択は可能なのかの見極めや、副業やプロボノのデビューを考えたり、マーケティング組織をマネジメントするレイヤーであれば、個々人にそういった成長材料が提供できる体制になっているかなどを検討するのがよさそうです。

リモートワークの普及により、各自がより一層「何やってるのかわからん」っていう状況になり、組織としてはどんどんその垣根や輪郭が曖昧になって行きますが、一個人としてはそれは成長機会として捉えられるんじゃないかなと思っている。部署内でも部署外でも、社内でも社外でも、変化に紛れていろいろとチャレンジしながら、自分だけの真実をうまいこと作れるといいんじゃないでしょうか。結局、定量的で客観性に溢れた仕事というのは、悪く言えば「誰がやっても同じ」仕事であるわけでして、不確実なものに対し、それをどう解釈しどう捌くのか、そういった個人の勘や判断に価値が集まるわけです。まずはそういうタネを蒔いてみるのが、タイミングとしてはおもしろいんじゃないかなと。

そんなこんなで、別に語りきれた気はそこまでしてないものの、そろそろ疲れたのでこの辺にいたします。全部細かい部分まで言及しようとすると多分3日くらいかかりそう。

本年もご愛読のほど宜しくお願いいたします。

これが今年最後の投稿にならないように頑張ります。

なんつって。

コメント

タイトルとURLをコピーしました