ニュースピックスというサービスがある。

「実名制インテリ2ちゃんねる」と呼んでいた。自分も昔はほいほいPick(ニュースをコメント付きで取り上げること)してたり、実名でインテリジェントなPickerのコメントを読ませてもらって勉強していた。

 

そんなニュースピックスが日本経済新聞の15段広告(高い)に、挑戦的な内容の広告を打ったことが、いろんなところで話題になっている。

外部の、ましてサービスに特に愛着もないただのマーケターとしては、「それなりに賑わったからまぁまぁいいんじゃない?」て思ったのと同時に、このブーメラン的構図がどうしてもおもしろかったりニュースピックス自体が懐かしくなったので、20分でまとめてみる。

(つまり品質はアレかもしれないけど、すみません的な保険)

 

今回のプロモーションに対して

最近流行のコミュニティ結束型の経済圏作りを、かなり早い段階から体現していたニュースピックス、現在もその状況は変わっておらず、むしろ順調にその規模と影響力を増していると見受けられる。

そういうサービスではマーケティングの施策は結局外部への新規ユーザー向けアプローチとCRM(つまりは既存顧客向け)のアプローチがあると思った。

 

クリエイティブの仮説戦略設計はグー。

で、いわゆる風刺広告とか、世間をシニカルぶってバッシングするタイプの、なんていうんだろうな、賢そうな炎上マーケティング、みたいなクリエイティブは、こういう選民的なポジションニングを取る業態にはすごくいい。

なぜなら、「外部へリーチする」と、「内部の結束やアクティベーションを高める」を同時にこなすからだ。

炎上はだいたいバズる。なんでかというと、炎上の必要条件にバズりが入ってるからだ。(今更何を言ってるんだ感)

さらに、自分たちを「イケてねえおっさんじゃない側」と暗に宣言することで、会員の「やっぱそうだよな、おれらニュースピックス民だもんな」を加速させ、帰属意識にも作用する。

なので、アリ寄りのアリだとおもった。

 

ただし言ってる(ことの正しさ)内容は微妙(一部限定的)

「ネタにマジレス」みたいな構図になっちゃうので、この辺には言及したくないんだけど、言ってることの正しさは限定的だと思った。

いや、わかる、わかる。デジタルネイチャー、Decentlize、アンチ忖度、大企業病、スタートアップ、ニューエリート。わかる。I see about thatマジチルアウト.

本当にめっちゃよくわかる。GoodMorningビルで投資先とコーヒーミーティングやりたいし、夜はチーズタッカルビをオフィスでやったり、ウィッシュリストでオフィス移転記念にいろいろ送られたりサービス開始当日にパンクしてプレスで土下座したりしたいやん。

 

https://www.youtube.com/watch?time_continue=35&v=tLBxTmdXjhM

https://newspicks.com/news/3125520/body/

 

とはいえ、いかんせん説明が足りないし、「おっさん」というアイコンに憑依させるにはインプレッション(広告のじゃないよ)が雑すぎる。これはたぶん、ニュースピックス内の既存のコミュニティにはヒットするんだろうけど、初見のユーザーに味わってもらうにはまだ抽象度のハードルが高すぎると思う。

実際どうかはおいておくにしても、せっかく「おっさん」という広い表現で障壁を下げたわけなので、であればもっとコンテクストをビビッドに共有して、下手に内輪で固まるのはもったいなかった感。

いや、別に自分がすごい広告のクリエイターとかではないんですけど、「非おっさん」だったら耳を貸してくれるかな、と。

 

 

 

【プロモに関するメモ】

・コミュニティにおいては内部結束を強める広告と、外部から新規加入者を募るタイプのアプローチがあるよね

・そういう意味ではCRM的な施策なのかもね

・採算は合うのかな?新聞15段広告以外にも、オフライン(都内の電車内)とかも買ってるみたいだし、結構なコスト踏んでそう。

・出口は課金??とすると月額単価1500円なので、全然回収するのか。

・オンラインサロンみたいなのもやってるんだっけ?ターゲットの可処分所得多いからいくらでも取れそう。

 

→攻めるのはアリっぽい。

 

ニュースピックスについて

ニュースピックス、いつからだったかは覚えてないけど、もう結構な昔に読むのをやめてしまった。2015年くらいかな。

理由は以下のとおり。

 

なるほどおじさんとポジショントーク

なんか細かい人たちのポジショントークとか、「なるほど」みたいなのが大量発生して、文字通りただのノイズになってたのが残念だった。Y!ニュースのコメント欄に並ぶ、「日本の一般的意識」を垣間見ることもできたと思う。なんにせよ、なんらかの判定機能や並び替えみたいなものが入ってると嬉しかった。

 

日常にFITしないアプリへの囲い込み

あと、アプリへの囲い込みが厳しい。これだけWeb-Appの垣根が瓦解してきている中、いまだにリンク踏んだら「元記事」or「Appに遷移」で後者を強めに求められる体験はなかなかできない。ロケンロールを感じた。

ただ、自分はそれを許せなかった。これを書いてて改めて気が付いたんだけど、自分、そんなに暇じゃない。デバイスは私用携帯(Android)、社用携帯(iOS)、iPadが2台、Mac、Win-PC(2台)を行ったり来たり。だいたい毎日1-2時間を使い70記事くらいに目を通しているエブリデイなのだけど、このデバイス間でUXが共有できないと正直キツい。そうなると、もはやAppだけのニュースサービスにいる場所がない。

結局、「あ、これいいな」と思った媒体をRSS登録したり、TwitterのNews用リストに追加することで、以前と変わらない情報感度を実現できてしまった。うーん、さよならおっさんか…。

 

でも課金もありかなーって思ってる

でも有料記事は読もうかなーと思ってて、これは自分側で情報とか知識をスキルやポジションに紐づけてマネタイズできる状況が整ったから、と断言できる。

3年前の自分じゃ間違いなく1500円原って読むのは赤字だったし、勉強については無料で公開されてるネット上の記事とかで間に合ってた。

でもいまは違う。自分が新しい時代にくらいつき、ちょっとその先を予想して絵をかき、それを実現するチームや協働者に囲まれて生きている。ただの妄想ではいけない、とびきりメリットのある、破壊的な、良い未来を描かなくてはいけない。なので、鮮度と質の高いコンテンツに目を通すことは、なによりも重要だ。

日経新聞も多分課金することになると思うんだけど、やっぱりコンテンツの質や速報性、網羅性が良いものは栄養素として取らないといけない。3年前よりハイパフォーマーであることが強烈に求められる、そういう背景がある。

 

【サービスに関するメモ】

・いまニュースピックスに思うこと

・使ってない。「なるほど」おじさんが大量発生したのでゴミが多いイメージ。イキり発射すごい。

・あとAppへの囲い込みがキツすぎ。自分の情報収集のルーティンに乗らない。

・時々勉強になるコメントもあるけど、率が下がったので切った。

・別に記事はだいたいカバーできてる、RSSでいい

・でも有料記事は読んでみるべきだと思った。1500円も別に気にならん。

・これは情報を知識にしてマネタイズできる手段やバックグラウンドが自分側に整ったからなので、何かが改善されたとかではないと思ってる。

・新聞も同じく。日経取る。たぶん電子版。

 

 

ニュースピックスのサイト内にある、今回のプロモーションに寄せた文章は以下のことばで閉じられている。

 

もし「NewsPicksの精神がおっさん化した」と感じられたときには、みなさまからの厳しいコメントをいただければ幸いです。

 

正直に言えば、まだまだ全然おっさんを感じました。なんだろね、「社内にいる、ちょっと変わったおっさん」てところでしょうかね。

 

若者と未来の日本のために「さよならおっさん」って言ってくれるなら、それよりは若手にとって「ついていきたくなるめっちゃイケてるおっさん」であるべきかなって思ったんです。

 

なんつって。